knowns 曲目解説
11月 24th, 2009
midas touch
メロディもハーモニーもない骨格だけで成り立っている曲を、という構想のもとに書いたのですが、音楽における骨格とは実際はもしかしてメロディとハーモニーのことかも知れないと完成後に気付きました。全て記譜されており、アドリブ要素は全く入っていません。それにしてもスネアドラムは普通にスティックで演奏するだけで意外と色んな音がするもんです。
midas touch pro
コンダクション曲です。テンポと拍子だけを各演奏者にハンドサインによってリアルタイムで指定します。テンポと拍子をどう解釈するかはそれぞれの演奏者に任されています。加えてオルガンには「毎回違うキーでブルースを演奏する」、「単音ロングノート」などのサインが割り当てられています。このバージョンはスタジオでの10分ほどの演奏を編集、再構成して作られたものです。
100 or more
杉本拓、宇波拓と一緒にやっている『室内楽コンサート』シリーズのために書き下ろした曲が元になっています。6音で構成されるオルガンの和音は発音毎にひとつづつ構成音が上行していきます。F-G-A-B-C-E♭ → F#-G-A-B-C-E♭→ F#-G#-A-B-C-E♭ といった具合に。発音タイミングとデュレーションは任意となっています。終盤近くに出てくる上行するベースのフレーズも、同じように一音ずつ変化しています。ただしこちらは和音ではなく水平方向に音符が並んでいます。それ以外の部分では、オルガンと同じく音程と回数だけが指定されておりタイミングは任意です。両ドラムスは、それぞれに割り当てられたパターンの打点をハイハットシンバルに置き換えることが許されており、これが人力ダブ効果を生みます。エンディングのコントラバスクラリネットははドミソで。
wet mockup
gnu の従来の曲調に一番近いポリリズム曲です。が、普段あまり使わないタムをドラムスのパターンに多用しています。繰り返し部分の細かい変化もかなり細かいところまで譜面化してあり、自由なのは終盤のアルトサックスアドリブくらいです。リズムパターンが変わってスカスカになるところは、自転車を漕いでいるときに、重いギアに変速したつもりが間違えて軽いギアに入れてしまい脚がカクカク空転する感じをイメージしています。
old faithful
小節数の等しい5つの楽章から出来ています。いわゆるポリリズム曲とはちょっと聴こえ方が違いますがポリリズムの技法を使って書いています。ただし、異なる拍子の頭が最小公倍数小節で「合う」瞬間はこの曲にはありません。「合う」前に曲が終わってしまうからです。第3楽章は第2楽章から鍵盤パートを除き、ドラムスをシンバル類のみに置き換えテンポを落としたものです。第4楽章のリフはコントラバスクラリネットで演奏しています。第5楽章ではドラムスふたりとベースは第2楽章、鍵盤は第1楽章をそれぞれ自由に可変するテンポで演奏しています。曲名は、スコットランドの自転車トラック競技選手にしてエンジニアのグレアム・オブリーが93年と94年に「地球上でもっとも過酷な1時間」と言われる競技、アワーレコードの世界記録を更新した時に乗ったオブリー自ら設計組み立てした自作自転車の名前に由来します。
>>Graeme Obree
a kite in the storm
今回の「収録曲のなかで一番古い曲です。前作に入れるつもりで録音したんですが、(主に自分の演奏が)まだ練れていない気がして一旦没にしましたが、今回録り直して復活しました。この曲と次の”knowns” では、オルガンにGOK SOUND所有のレズリースピーカーが使われています。レズリーは、生音を間近で聴くとスゴいです。時間が溶けます。
テーマ部分のコード進行は、2004年、沖縄本島で台風のために羽田行きの飛行機が欠航になってホテルに缶詰になっているときにYAMAHA QY100で作りました。それでkite in the storm なわけです。下から上に降る雨というものをその時に初めて経験しました。
knowns
前作収録のgoverment breath、na と共通する、繰り返しのない長い旋律を使った曲です。記憶の中のベンチャーズを参照して書いてみました。イントロのオルガンはちょっとガース・ハドソンみたいです。曲自体は基本的に4/4拍子ですが、オルガンのリフレインは5/4拍子で進行しています。後半のブレイク後、ベースだけ半拍ズレて最後までそのまま行きます。
大蔵雅彦




